異文化との接点でカルチャー・ショックを感じることは不可避と言われている。その原因に対応するための批判的思考、また問題解決を見出すためにクリティカル・インシデント法が異文化コミュニケーション研修でも取り上げられ、誤解や対立などを描写する有効な方法として位置づけられている。 本発表では、新型コロナウイルスの感染拡大前に留学準備講座（半期の日本語開講科目）を履修した日本人大学生が経験したクリティカル・インシデントの調査結果を明らかにする。クリティカル・インシデントの指導を受けた翌週、受講生は外国人交換留学生との懇親会に参加し、自ら経験したクリティカル・インシデントに関する振り返りを記述した。記述内容をHall (1976) の高文脈/低文脈文化のモデルに沿って分析し、コロナ禍における本講座指導への応用、並びに海外留学を目指す学生に必要な要素も考察する。